13番目の恋人
「お昼、どこか食べに行く?」
「あ、私、ゆっくりして頂こうと、昨日たっくさんお買い物をして……何を、作るかは決めてないんですけれど……」
「本当に家から出ないつもりだったんだね。じゃあ、何があるか見てもいい?」
「はい。でも私、結構お腹いっぱいになっちゃって……でもお昼ご飯食べないと、今度はまた、3時のおやつ食べ過ぎちゃいますね」
 
 ……おやつって、私も……子供じゃないのだから。
 
「じゃあ、軽くパスタにしようか」
「いいですね」
 
パスタは茹でている間にソースを作っておけば、茹でたてに和えるだけだ。いつも、祖母や母親と作っていた。
 
「俺はあまり得意ではないんだけれど、何のパスタにしようか。あとスープか何か作る?」
「お味噌汁飲みたいです!」
「パスタに合うかな……いいか、適当で」
 
……パスタはいつもゆでるのを任されていて、ソースは横で母親が作っていたのだった。

「どうしよう、わからない……」
「え、俺も。あっ、パッケージの裏に書いてある、これにしようか」
「美味しそう。じゃあ、私はお出汁とって、お味噌汁を」
「パスタは……7分茹でる。いや、7分でソース作れる自信ないな、先にソース作ろう」
「玉ねぎ、どっち向きかな? こうかな? 」
 
それぞれがバタバタして、駄目な自分たちにおかしくなって笑いあった。

「いいよね、少しくらい失敗したって」
「いいですよね、少しくらい遅くなったって」
顔を見合わせて笑った。
< 111 / 219 >

この作品をシェア

pagetop