13番目の恋人
「ぶっ」
艶々したパジャマの頼人さんに、つい吹き出してしまったけれど、頼人さんには聞こえなかったみたいでほっとした。なぜなら

「俺、こういうの結構似合うよね」
と、ご満悦だったからだ。

「小百合も可愛い、似合ってる」
「……ふふ、頼人さんて本当、適当」
「え、そうかな。似合うと思うんだけど、小百合は何でも」
そう言って笑った。
毎日同じベッドで眠る、泣いてしまいそうなくらいの幸せ。

「頼人さん……」
「何?」
「結婚したら、毎日するものでもないんですね」
「へ? あ、はは。えっと、そう……だね」
ウトウトしかけていた頼人さんがビクリと身体を震わせた。少し視線を泳がせたのが暗闇に馴れた目でもわかった。
「……困らせてますか? 私……」
「うん、可愛すぎて、困ってる」
頼人さんは、ため息を吐くようにそう言った。

それから
「おいで」
と、引き寄せてくれた。

キスの合間に何度も「幸せ」そう言って笑いあった。

 ──すやすやと子供のように眠ってしまった頼人さんの耳元に唇を寄せる。
「お休みなさい。旦那さん」

今度からは、私がキスで起こしてあげますからね。
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