13番目の恋人
こんなに大変なのだと正直驚いたけれど、もし……私が頼人さんではない男性と結婚していたら、こんな気持ちではなく、もっと億劫になってしまい、その人への自己嫌悪に苛まれていたかもしれない。
頼人さんと結婚出来る、それだけでどんなことも幸せなことに変わってしまうから不思議だ。
そして、多分、というか絶対、難しいことは頼人さんが済ませてくれたのだと思う。いつにも増して忙しそうだったから。
それならせめて、私は……頼人さんの好きなお魚のお料理をたっくさん覚えて、頼人さんに食べて貰いたい、そう思って頑張った。

幸せ過ぎる時間を過ごしていた。
お仕事は子供が出来るまで続けることにした。子供が出来るまでと決めたのは私じゃなくて俊くん。
「小百合に両立は無理だから、そうしろ」
と、強い口調で言われたのでそうすることにした。あとどのくらい続けられかはわからないけれど。仕事もとても楽しい。
春が過ぎたら、頼人さんのお仕事ももう少し落ち着くから新婚旅行へ行こうと話している。子供はそれから考えようと二人で話し合った。
もう少し、二人でいられる幸せ。

万里子さんがお祝いにくれたお揃いのパジャマは艶々したシルクサテンで、とっても、何て言うか……ラブリー。私はともかく頼人さんは……おかしい。
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