狂犬に愛される覚悟
「乾~杯~!!」
今日は久しぶりに、零王の暴走族のチームが集まり飲み会をおこなっている。

チームの一人・塩谷 朝陽がバーを経営していて、いつもそこを貸しきって飲んでいる。
朝陽のバーはあまり広くなく、カウンターと奥にボックス席がひとつある。
零王はいつもそのボックス席の、一番奥にある大きなソファの真ん中に座る。
いつものように足を組んで座り、愛妃を横に座らせぴったりくっつく。
そしてみんなで集まる時はいつもさりげなく、愛妃の腰に手を回すのだ。
「零王、恥ずかしいからやめて……」
「やだぁ~!愛妃とくっついてたいもん!」
「みんな、見てるよ?」
「いいよ、別に。
関係ないもん!なんなら、キスする?」
「き、キス///!?
嫌だよ…!」
「赤くなっちゃって、可愛いぃ~!!」

「何なんだ、アレ!」
「あれ、ほんとに零王さん?」
「零王さんって二人いるんじゃね?」
「……んなわけねぇけど、そう思ってもおかしくないよな……?」
仲間達が少し離れた所から、小声で話している。

「でもほんと、久しぶりよね?
零王が、なかなか愛妃に会わせてくんないから」
絵美が愛妃の横に座り、言った。
ちなみに、愛妃の横に座れるのは絵美のみである。

「当たり前でしょ?愛妃は“俺の”愛妃なの!」
「独占欲の塊ね…(笑)」
「あ、愛妃ちゃん!」
「ん?」
「俺の親父がちょっと顔出すっつてんだ。
ちょっと、会ってくれる?」
「え?えーと確か、律くんのお父さんって…」
「愛妃、嫌なら会わなくていいよ?
俺が断ってあげるよ!怖いでしょ?」
零王がすかさず口を挟み、会わせないようにする。
とにかく、竜郎に会わせたくなかった。
零王を怒らせることはしないが、竜郎にはちょっと面白がるところがある。
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