狂犬に愛される覚悟
「なんだよ、気色悪っ!!」
「鈴野さんに聞いたんだ。
彼氏ってどんな奴なの?って!
そしたら“可愛い人”だって!
犬系男子って言葉が、ぴったりらしいよ」
「仕事…戻れよ……
てか、ここで油売ってる暇があるなら、愛妃に残業させんなよ!」
「鈴野さんに飽きられないようにね!
彼女を狙ってる男、多いよ!
………って、君…」
佐崎が驚くのも無理ない。
零王の雰囲気が、あまりにも恐ろしかったから。

「早く…戻れ……俺の手が出る前に…」
佐崎はそそくさと中に入っていった。

「零王!
ごめんね…待たせて」
「ううん。ずっと仕事してるの見てたから」
「えー恥ずかしいなぁ///」
「フフ…可愛い~愛妃」
「遅くなっちゃったから、何か食べて帰ろ?
何食べたい?」
「んー、肉!!」
「プッ…いいよ!
じゃあ…焼肉?」
「うん!」
バイクの後ろに乗る、愛妃。
そして、ギューッと抱きついた。
「フフ…零王の背中、安心する~」
「そう?」
「温かくて、癒されるの」
「うん…じゃあ、行くよ!」
「うん…」

食事が終わり、帰った来た二人。
「く、苦しい…」
ソファに座り、お腹をさすっている愛妃。
「愛妃、食べすぎだよ…!」
零王も愛妃の横に座り、愛妃の手の上から一緒にさすった。
「零王に付き合って食べるんじゃなかった……
凄く美味しそうに零王が食べるから、つい…」
「動ける?」
「今は、無理…
零王…肩貸して?」
「いいよ」
零王の肩に頭を預けて目を瞑る、愛妃。
珍しく甘える愛妃にとても愛しく感じ、頭を優しく撫でた。

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