狂犬に愛される覚悟
狂犬は一途
そしてまた、いつもの日常が戻った頃。

「鈴野さん、お客様が呼んでるよ」
「え?」
そう言われ、出入口の方に向かう。

「こんにちは、鈴野さん」
「あなたは確か……日野さん?」
「うん、嬉しいな。
覚えててくれた!」


そして、仕事終わり。
「お疲れ~」
「あ、零王…」
「……??どうしたの?」
「零王……」
愛妃は零王に抱きついた。

「どうした?もしかして、佐崎に何かされた?
大丈夫?」
「ううん。仕事の事でちょっと……
でも、大丈夫。零王がギューッてしてくれたら、また頑張れる!」
「うん…じゃあ……ギューッてする!」
「………零王、嬉しいけど…苦、しい…」
「フフ…愛妃のこと好きすぎるから、しゃーないよ!
我慢して?」

ひとしきり抱き締め合い、帰り際。
「はい、ヘルメット」
「ん。ありがと」
「………あれ?指輪?
愛妃、なんで指輪してんの?しかも薬指……」
「へ?
あーー!持ってきちゃった!
ちょっと待って!返してくる!」
一度、店内に入りすぐ戻ってくる。

「ごめんね…帰ろ?」
「ねぇ、さっきの何?」
「ん?あの指輪はサイズを測る為の指輪だよ。
ちょっと仕事で、私の薬指のサイズを測ることになってつけたの。それでそのまま…」
「なんで、測る必要あるの?」
「お客様に頼まれて……」
「は?どうゆうこと?」
「お客様の彼女さんが、私と同じ位の指のサイズだからって、私…自分の指のサイズを測ったことなかったから」
「ふーん」
なんとも不服そうな、零王だった。
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