狂犬に愛される覚悟
優しく愛妃を抱きかかえた、零王。
「愛妃…愛妃…愛妃!!」

「零王!あんま揺らすな!とにかく、病院に!」
「はぁはぁ…律、病院に連れてって」
「お前は…?」
「そんなの……決まってんだろ…!?」
零王は律に愛妃を渡すと、宮城に向き直った。

煙草を取りだし、一本咥え火をつけた。
そして髪をかき上げ、宮城を見据えた。

「……っつ…ゼロ…お前……」
零王の目が赤く染まっていた。
いや、正確には目が血走っていて赤く見えるのだ。

「なぜ、愛妃を傷つけた?」
少しずつ宮城に歩みを進める、零王。

「そ、それは!あの女が自分で刺したんだよ!
死んだら、人質ではなくなるからって!
ゼロの足枷になりたくないって!」
宮城は、反対に少しずつ後退る。

「へぇー、愛妃らしいな……」
「あ、あの女言ってたぞ!
ゼロに暴力は似合わないって!
ゼロは、可愛い犬なんだから!って!」
「ふーん。そうだね!
でも、可愛い犬なのは愛しい愛妃の前だけだよ!
ここに、愛妃はいないよ!
てことは、俺も…何も誰にも気をつかわずに殺れる」

ペッと煙草を吐き出し、フッと微笑んだ零王。
「地獄に……落ちろ……」

そして宮城をただ……感情のままなぶり殺した。
回りには仲間達がいたが、誰も近づけない。
それ程の惨劇で、地獄化していた。
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