キミに贈る言葉
第4話
【宮川一花side】
…暗い…
……ああ、これは夢の中だ…
昔から意識を飛ばすとこの暗い空間にいる。
まるで自己嫌悪に閉じ込められているかのように。
「…くらい…さむい…」
口から出た言葉は今の私の声じゃない。
中学生の頃の声のように高く、幼い声をしている。
自分の手も今より少し小さくて、骨が浮き出ている。
…勇太が一緒にいた時のような頼りない手のひら。
今より体が弱くて言うこと聞かなくて…
ずっとまともに授業も受けられず保健室で過ごしていたあのときのようだ。
あの頃は本当に学校に行けてもまともに授業を受けられず悔しい思いをしていた。
「一花、大丈夫。僕がずっと一緒にいるよ」
隣のベッドで勇太がずっとにっこり微笑みながら話しかけていてくれた。
だから私は学校に行けていたんだ。
…でももう、勇太はいない。
頭ではわかっているのに私の記憶が勇太のことを絶対思い出させて拘束してくる。
次に進まなければならないのはわかってる。
わかってる…けど…
「…勇太…っ」
…今はまだ、私はこの夢を見続けていたいの。
【宮川一花side END】
【笹川将也side】
宮川さんが会社で倒れて早1週間。
俺の隣の席はずっと空いている。
彼女が倒れてから病気について色々調べてみた。
調べたけどよく理解できなくて…
骨髄移植すれば治る、ということしか理解できなかった。
ただ、搬送された先の病院の先生曰く、彼女は治療を一切していないそうでかなり病状が悪化しているらしい。
治療をしていない理由は彼女の家族だけが知っているそうで会社には伝えていないそうだ。
あの後部長が病院まで付き添ってご家族に連絡して会社に戻ってきたけど理由は伝えられなかったそうだ。
このまま目覚めなければそのまま…ということもあるかも知れないらしい。
「笹川ー!今日仕事終わり飯行くか?」
同期のメンバーがニカっと笑いながらこちらへくる。
「…あー、悪い!行くとこあるから!」
俺はそう言っていつも彼らの誘いを断っている。
少しだけでも彼女のそばにいたい。
その思いから仕事が終わり次第いつも俺は帰らずに病院に通っている。
足早に総務課から出ていく俺を彼らがずっと見ていた。
「ー…あいつ、本当に宮川さんのこと好きなんだな…」
ー…ピチョン…ピチョ…ピチョン…
静かな病室に点滴の滴が落ちる音だけ響いている。
「…まるで眠り姫だな…」
静かに眠り続ける彼女の閉じられた目には涙が溢れている。
…悪い夢でも見ているのだろうか…
涙は溢れている。がどこか微笑んでいるようにも見える。
苦しんでいるわけではないようだ。
俺はそっと彼女の涙を指で拭った。
ー…ガララ…
病室の扉が静かに開く。
「あら、一花の…上司の方かしら。」
静かに入ってきたのはおそらく宮川さんの母。
…この子の可憐な姿はこの母親ににたのだろう。
それくらい綺麗な人だった。
…暗い…
……ああ、これは夢の中だ…
昔から意識を飛ばすとこの暗い空間にいる。
まるで自己嫌悪に閉じ込められているかのように。
「…くらい…さむい…」
口から出た言葉は今の私の声じゃない。
中学生の頃の声のように高く、幼い声をしている。
自分の手も今より少し小さくて、骨が浮き出ている。
…勇太が一緒にいた時のような頼りない手のひら。
今より体が弱くて言うこと聞かなくて…
ずっとまともに授業も受けられず保健室で過ごしていたあのときのようだ。
あの頃は本当に学校に行けてもまともに授業を受けられず悔しい思いをしていた。
「一花、大丈夫。僕がずっと一緒にいるよ」
隣のベッドで勇太がずっとにっこり微笑みながら話しかけていてくれた。
だから私は学校に行けていたんだ。
…でももう、勇太はいない。
頭ではわかっているのに私の記憶が勇太のことを絶対思い出させて拘束してくる。
次に進まなければならないのはわかってる。
わかってる…けど…
「…勇太…っ」
…今はまだ、私はこの夢を見続けていたいの。
【宮川一花side END】
【笹川将也side】
宮川さんが会社で倒れて早1週間。
俺の隣の席はずっと空いている。
彼女が倒れてから病気について色々調べてみた。
調べたけどよく理解できなくて…
骨髄移植すれば治る、ということしか理解できなかった。
ただ、搬送された先の病院の先生曰く、彼女は治療を一切していないそうでかなり病状が悪化しているらしい。
治療をしていない理由は彼女の家族だけが知っているそうで会社には伝えていないそうだ。
あの後部長が病院まで付き添ってご家族に連絡して会社に戻ってきたけど理由は伝えられなかったそうだ。
このまま目覚めなければそのまま…ということもあるかも知れないらしい。
「笹川ー!今日仕事終わり飯行くか?」
同期のメンバーがニカっと笑いながらこちらへくる。
「…あー、悪い!行くとこあるから!」
俺はそう言っていつも彼らの誘いを断っている。
少しだけでも彼女のそばにいたい。
その思いから仕事が終わり次第いつも俺は帰らずに病院に通っている。
足早に総務課から出ていく俺を彼らがずっと見ていた。
「ー…あいつ、本当に宮川さんのこと好きなんだな…」
ー…ピチョン…ピチョ…ピチョン…
静かな病室に点滴の滴が落ちる音だけ響いている。
「…まるで眠り姫だな…」
静かに眠り続ける彼女の閉じられた目には涙が溢れている。
…悪い夢でも見ているのだろうか…
涙は溢れている。がどこか微笑んでいるようにも見える。
苦しんでいるわけではないようだ。
俺はそっと彼女の涙を指で拭った。
ー…ガララ…
病室の扉が静かに開く。
「あら、一花の…上司の方かしら。」
静かに入ってきたのはおそらく宮川さんの母。
…この子の可憐な姿はこの母親ににたのだろう。
それくらい綺麗な人だった。