魔女は今日も、忙しく恋する!
「ろーぜ、モウソロソロ夜」

 コウモリの声に魔女は飛び起きた。

「きゃっ…夜ですって!?月光浴とメイクと泉の水浴びが…!!」

「…今日モ、いんきゅばすノトコ、行ク…?」

 コウモリは悲しげ。

「当たり前よ!媚薬と惚れ薬はもうすぐ出来るわ!今度こそ…!!」

 魔女は気合いを入れ直し、支度をしてから薬の調合に向かった。

「魔法はうまくいったわ!あとは『ヘビのため息』を入れれば、うまくいくはず!来てちょうだい!!」

 呼ばれたヘビは眠そうに魔女のもとに来た。

「ろーぜ、ワタクシ眠インデスノ…。蛙ノ彼、けろけろウルサクッテ、眠レナカッタンデスノヨ?」

「またケンカをしたのね!?もう全くっ!…いいから、『ヘビのため息』を…!」

 ふうっ…とヘビがため息をつくと、薬に光が吸い込まれていった。

「いいわ…!ご苦労さま!」

「アァ…眠イワ…セッカクノ素敵ナ寝床、移動シテクダサラナイ?アノ蛙ノ彼ト、同ジ部屋カラ…」

「そんな場合じゃないのっ。時間がないわ、行ってくるわね!」

 魔女は眠そうなヘビを置いて、ホウキに跨がり城を飛び出した。

「急がないと…!彼、人間達のもとに行ってしまうわ!」

 魔女は女性好きな一人のインキュバスが好きだった。
 夜の間に行動する彼は、一人女性を定めるとしばらくそこに居着いてしまう。
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