魔女は今日も、忙しく恋する!
「ダーク!来たわ!」

「また来てくれたの?ローゼ。」

 屋敷から出てきた彼のもとに、魔女は駆け寄った。

「今日は何かな?」

 嫌味なくにこやかに魔女に笑いかける彼。
 彼女は笑ってワインを差し出した。

「あなたにもらってほしくて持ってきたわ!ワインは嫌い?」

 ところが、受け取りながら彼は、なお一層笑いながら言った。

「嬉しいな。魔法の香りがするね。この僕に媚薬と惚れ薬なんて。かわいいな、ローゼは」

 魔女は呆然とした。

「これはウルフマンの友達にあげておくよ。彼、恋人が欲しいって言っていたからね。ありがとう、じゃ」

「そんな…!」

 やはり相手にしてもらえず置いていかれてしまい、インキュバスの屋敷前で彼女は肩を落とす。

「もうっ…どうして…?どうしてバレたの…!?『ヘビのため息』は入れたわ!そうしたら魔力を感じられないはずだったのに…!!」


 城まで戻ってくると、やはり真っ先に出迎えたのはコウモリだった。

「オカエリナサイ、ろーぜ!」

「…なんであんたがいつも一番最初なのよ?」

 魔女に笑いかけていたコウモリは、とぼけるようにさっと目を逸らした。

「まあいいわ。…食事しましょ!あんたは準備を手伝って!」
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