新人メイドと引きこもり令嬢 ―2つの姿で過ごす、2つの物語―
「…騙されるか…!んっ…」

 男は娘を掻き抱いたまま何度も首に口付けながら、娘の服をはだけていった。

「や…嫌っ…!」

「っ…お前だって、どうせ金目当てなんだろう…!俺にこうされたくて居残ったんじゃないのか!?」

 指を、濡れ始めた娘の中にいきなり差し入れた。

「痛い…!!痛い…嫌ぁ…!!」

 娘は身体をよじるが、身体半分に布団が絡まり、男も遮っていて動けない。
 なおも男は娘の濡れた中で指を蠢かせた。

「痛っ…た、助けて…お願い…!!嫌だ…お母さん…!」

「!!」

 泣き始めた娘を見て男は手を止め、目を瞑り娘を抱きしめたまま動かなくなった。

「っ…く…」

 娘は徐々に落ち着き泣き止むと、涙に濡れた目で男を見てみた。
 改めて見ると、男は眼帯をして顔は半分隠れてはいるが、大分整った顔をしているらしいことが分かった。

(…乱暴だけど、何だかきれいな人…)

 娘はなぜか穏やかな気持ちになり、動かなくなった男に抱きしめられたまま、眠ってしまった。


 明け方頃、また物音に目を覚ますと、男はもう居なかった。

(…あんなことされたのに、私…。どうしてあんな人に……)

 眠れなくなった娘はまた、作りかけのテーブルクロスに手を伸ばした。

「??」

 隠していたテーブルクロスが荷物の上に出ている。

 娘はそれ以上は気にすることなく続きを縫い始め、2枚のテーブルクロスを作り上げたところで日が昇り始めた。
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