君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
式場に到着してからメイクとヘアセットをするため、朝の支度は普段より早く終わる。
八時半に智志くんが迎えにきてくれるという約束で、時計を見るともうすぐその時刻を迎えようとしていた。
「そろそろお迎え?」
玄関でパンプスに足を入れながら「うん」とリビングを振り返る。
「お母さんもすぐに向かうわ」
「急がなくても大丈夫だから、ゆっくり来て。じゃ、私外出て待ってるね」
チャペルでの挙式は十二時から予定されている。
今から会場に向かい、九時よりヘアメイクや着付けの準備が行われる。
いつも約束の時間前に来るのに、今日は珍しいな……。道が混んでるのかな……?
遅れても五分十分だろうと思い、部屋には戻らずマンションの前で待つ。
しかし、十五分が過ぎても二十分が過ぎても智志くんの車が走ってくる気配はなく、いよいよスマートフォンをバッグから取り出した。
運転中の相手に連絡をするのは危ないと思うから、普段極力しないようにしている。
だけど、さすがに時間を大幅に過ぎているから仕方ない。