君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


 もしかして約束の時間間違えてる?

 まさか、事故に遭ったなんてこと……。


 遅れている様々な理由を並べ、繰り返される呼び出し音に耳を澄ます。

 でも、鳴り続けたコールは留守番電話へと繋がり、智志くんの声は聞こえてこない。

 何度かけても繋がることはなく、時刻はとうとう式場での予約時間九時をまわるところになってしまった。

 気持ちだけが急き、足早に近くの大通りまで出ていく。

 いつもタクシーが客待ちをしている場所にタイミングよく二台のタクシーが待機していて、小走りで近づき乗車する。


「すみません、『Jo(ジョー) House(ハウス) Wedding(ウェディング)』までお願いします」


 目的である式場の名を運転手に告げ、すぐにメッセージアプリで智志くんにメッセージを作る。

 簡潔に【大丈夫? もう時間だから式場に向かいます】とだけ送信した。

 タクシーに乗車してから約十五分、目的である式場の前へと到着し、支払いを済ませる。

 そのタイミングで手の中にあるスマートフォンが振動し始め、表示された智志くんの名前に慌てて通話をタップした。

 タクシーを降車しながら「智志くん?」と呼びかける。

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