浮気 × 浮気
「明里」
不意に頭上から聞き覚えのある声が降ってきて、顔を上げた。
そうすればすぐ近くに陸の顔があってつい仰け反ってしまう。
「な、なに?」
「……いや、今ちょっと話したい」
そう真面目な顔で言い張った陸は、私の返事を待つことなく、強引に私の手を引いた。
そして連れ出されたのは、オフィスルームから少し離れた廊下だった。
私の腕を掴む陸の手の力は緩むことなく、離される気配もない。
この前の出来事が脳裏を過って、どんな顔で陸を見ればいいのかわからず、ただひたすら下に視線を向けていれば、再び名前を呼ばれる。
けれどその次に聞こえたのは、陸の声ではなかった。