浮気 × 浮気


そんな事を考えていたせいか、気づかないうちに暗い表情になってしまっていたのだろう。

木嶋さんが私を心配した様子で、「明里さん?」と私の名前を呼んだ。

その声をきっかけにみんなの視線が私に集まる。


「ん?どうかしたの?」


雪が木嶋さんに続いて、そう私に言葉を投げかけた。


「え?何も無いよ!元気元気」


そう言ってひきつる頬を半ば強引に持ち上げれば、雪は「そっかー」と笑顔を浮かべた。そしてその後、雪は言葉を続ける。


「そういえば!ふたりの6年目の記念日!どんな事したのか私まだ詳しく聞いてないよね?!気になるんだけどぉ!!」


その瞬間、ドクンと心臓が嫌な音を立てた。

雪の真っ直ぐな視線に耐えられず、私は思わず顔を俯かせる。

ーー6年目の記念日。
あの日は私にとって最悪の日。
陸に浮気をされた日。

私は膝の上でぎゅっと握りしめた拳を唇を噛み締めながら眺めた。

何か言わなければいけない。
上手く誤魔化さなくては。

そう思い、口を開こうとしたその時だった。


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