浮気 × 浮気
個室を出れば、人がごった返していた。
夜の居酒屋はこんな大繁盛だな〜なんて呑気に思いながらトイレを探す。
けれども店内のどこにもトイレがありそうにない。
すると、右往左往する私を見兼ねてか店員さんが声をかけてきてくれた。
「どうかされました?」
「あの、トイレを探してて」
「あ〜」
私がそう言うと店員さんは渋い顔をした後、申し訳なさそうに口を開いた。
「申し訳ございません。トイレは屋外にございまして…店を出て右の路地の奥まで行って貰うことになるんですよ〜」
「あ〜そうなんですか。ありがとうございます」
そう親切に教えてくれた店員さんに頭を下げた後、私は急いで路地裏にあるトイレへと向かった。
そこは店内とは真反対で、薄暗く人気のない場所だった。