浮気 × 浮気


曲がり角を曲がった矢先……
不意に車のライトが私を眩しく照らした。

それに違和感を覚え、その場に立ちどまってそちらに目をやる。


でも、気づいた時にはもう手遅れだった。


薄暗い中、車は私に気づいていない。
スピードを弛める事なく、私にそのまま接近してくる。


逃げなければ、なんて思っても体は咄嗟には動かない。


……ああ、もうダメだ。


私はもう成り行きに身を任せた。ゆっくりと瞼を閉じる。

もういい、終わりにしたいんだ。


光が私を覆い被さるようにして照らす。
そして、次の瞬間。


________バンッ


とてつもない大きな音と同時に、私は思い切り吹き飛ばされた。

駆け巡る今までの記憶。これが走馬灯か、なんて妙に冷静になる。

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