浮気 × 浮気

山下雪side

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《山下 雪side》


「久しぶり、山下」

「……久しぶりですね」


昨夜、急に秋本陸から連絡があり、急遽今日会うことになった。

どうせまた嫌味やら、罵声やらを浴びさせられるのだろうと来てみたが、今にも泣き出しそうな秋本くんの表情を見るに、それはどうやら違うらしい。


「別れたんだ、明里と」

「……は?」


突拍子もなく言葉を告げた秋本くんの切ない笑顔が目に映る。

……別れた、だからどうだって言うんだ。
文句でも言いたいのか。


「今ならわかる気がして」


唐突に述べられた言葉に私は眉間に皺を寄せた。


「山下が明里に抱いてた気持ちと、俺が木嶋さんに抱いてる気持ちって一緒なのかなって思って」


床に視線を落とすと、秋本くんは静かにそう言葉を発して力なく笑った。


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