浮気 × 浮気


「…そうか。なら俺の勘違いか、ごめん」


そう言って何だか寂しそうな表情をする陸に、ほんの少しだけ胸が痛む。


「うん、陸の勘違いだよ。だから気にしないで。今日、私用事があるから」


先行くね、そう言おうとしていたのに、急に手首を強く引かれ、強引に抱き寄せられた。


「ちょ、陸…!ここ会社の前だよ?!」


そうバタバタと腕の中で暴れるけれど、解放してくれる気配はまるでない。


「明里、ごめん、俺…じつはあの日、」


陸の声がそこまで聞こえた直後。


「あの」


背後から低い声が私たちを呼んだ。


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