浮気 × 浮気


そしてようやく外へ出た私は、木嶋さんの姿をキョロキョロと探した。

とその矢先、ポンポンと優しく肩を叩かれ、私は反射的に振り返った。


「木嶋さん、おまた…」


てっきり木嶋さんだと思った私は、そこまで言葉を発しかけて口を閉ざした。

なぜならそこに立っていたのは、木嶋さんではなく……


「……陸?どうしてここに」


陸、だったから。


「仕事、お疲れ様。昨日、帰る前明里の様子が変だったから気になって…だから仕事終わりに迎えに来た」


そう淡々と言葉を紡いだ陸は、私に手を繋ごうと言わんばかりに手の平を差し伸べた。

今となっては、この手のひらを握り事すらも抵抗がある。私だけじゃなく、ほかの女にもこんな事をしているのかと思うと、気持ち悪くてしょうがない。


「変…だった?私は別に普通だったけど」


あえて手を握らずそう言葉を続ければ、気まずそうに陸は手を引っ込めた。


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