【完】狂犬は欲望中毒。
月は姿を隠さず現れて、地上へと光を注いでいるはずなのに。
こんな時に限って逆光して左和季君の顔が見れない。
どんな顔してるの?
私のことどんな風に心配してくれたんだろう。
心臓が止まりそうなほどって、それってさ。
左和季君がそのくらい私のこと心配してくれたってこと?
……なんだろう。
胸の奥がむず痒い。
左和季君が私のこと心配してくれことがすっごく嬉しいだなんて。
さっきまで恐怖で頭真っ白だったくせに。
私、変だ。
「送る」
「あっ……」
いつまでも、夜のアスファルトの上で抱き締め合っているわけにもいかない。
けど、左和季君が離れてしまったと同時に
夜風に消される温もりに名残惜しさを感じてしまう。