離してよ、牙城くん。
そのおかげで、またもや百々ちゃんを縛りつける羽目になったし。
過保護度が増した、なんて彼女は言っていたけれど、もはやこれ、ただのうっぜえ父親だろ。
まじで、これ以上、百々ちゃんに嫌われたらどうしてくれんだよ。
百々ちゃんが天然で助かった。
俺の重すぎる愛をきっと普通だと思っているし、あまり嫌がるそぶりもない。
だから、縛りが強くなっても不思議に思わず従ってくれている。
ぜんぶ、百々ちゃんを守りたいからやってることなんだけど。
ポケットから棒付きキャンディーを取り出し、口に含む。
今日は、みかん味。
なんとなく、すっぱい味がした。