離してよ、牙城くん。
「てか、帰り道もいっしょじゃなくて大丈夫なわけ?
おまえがいなかったら、【相楽】なら朝倉さんに接触するだろうし」
「帰りは、橘ってやつといっしょらしいし、無理強いはしてない」
百々ちゃんと仲良い、花葉とかいう女。
あまりにも百々ちゃんと親友の仲を引き裂くと、俺がさすがにいたたまれないので、そこらへんは野放しにしている。
百々ちゃんが悲しむ顔だけは、見たくないから。
たぶん、百々ちゃんは知らない人についていくような人間じゃないし、何かあったら連絡くれるだろう。
しかも、あまり頼りにならないけど、合気道やってたらしいし。
そう思ってる俺は、……甘い考え?
「まあ、牙城がそれでいいなら、いいけどさ。
総長直々に近づいてくる線もなくはないんだから」