離してよ、牙城くん。





「どういう意味? さっさと教えて」


『まったくさ、ナギくんは人使いが荒いんだから』



そう言う椎名も、なにやらいつもの調子でない。


心は焦っているのか、どうにか平常心を保とうというふうにも思える。






……いや、俺を動揺させないため、か。






【狼龍】に、何かあった?

だれかがやられた?



……いや、ちがうな。







「……百々ちゃんになんかあったのか」






冷静に問いただしたつもりだけれど、エミは俺の顔を見て、一瞬で黙りこくった。








< 244 / 381 >

この作品をシェア

pagetop