離してよ、牙城くん。
そりゃあね、ホンモノの不良の牙城くんにとったら、わたしなんか非力だよ?
それでも、ばかにするのは良くないと思う!
「だいじょーぶ、なにかあったら俺が守るからさ」
「けっこうです!」
「あー怒っちゃった」
怒っちゃった、じゃないよ。
デリカシーなさすぎるよ。
でも、“守る”なんてさらっと言われて、嬉しかったなんて、
……そんなの知らないふりだ。
「百々ちゃーん」
「……」
気づけば、さっきのもやもやは無くなっていて。
「俺、ちゃんと授業受けるからさ、ゆるして」
そんな甘い言葉に、騙されちゃうんだ。