永遠に咲け
夕食の時間まで、咲愛の部屋で二人で紅茶を飲んでいる永久と咲愛。

「嬉しいな~、咲愛とお揃い!」
永久がネックレスに触れながら、言った。
「お兄様って…色んな顔があるね…!」
「んー?」
「普段とってもカッコよくて素敵だし、今はなんか可愛い。
お父様と離す時は力強くて、喧嘩してる時は怖くて恐ろしい」
「そう?」
そう言って、煙草を吸い始めた永久。
その姿をジッと見ていた、咲愛。

「あ!」
「ん?何?咲愛」
「このピアス、百合?」
咲愛は永久の左耳のピアスに触れた。
「え?うん、そうだよ」
「どうして、百合?
………もしかして、ママ?」
「うん…」
「まだ…罪の意識感じてるの?
お兄様のせいじゃないよ?」
「ううん、俺のせい……
俺が百合愛さんを殺したんだ………」

咲愛の母・百合愛は10年前に亡くなった。
永久が20歳になったばかりだった。
当時永久は、組の傘下に自分の組を持とうとしていた。
元々永久は父親のことが嫌いで、その反発心とある出来事が原因で、高校卒業後父親のライバルと言われていたヤクザ会長の所に世話になっていた。

そして永久は暴走族の総長を務め、金と人望と武力が備わっていた。
でも、なんと言っても永久は20歳。
普通なら、あり得ない。
当然意見をする者が多く、命を狙われることなど日常茶飯事だった。

百合愛が亡くなった日も命を狙われ、それを庇い助けたのが、百合愛だったのだ。

しかしその出来事が永久の怒りを買い、ほぼ一人で他の組員達を半殺しにし、永久は組を持ったのだ。
そして今では“大河 永久を怒らせてはいけない”と言う暗黙のルールがあるくらいだ。
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