永遠に咲け
「ほんと!?
嬉しい~!
あ、ちょっと待って!」
ベットを駆け下りた、咲愛が雑誌を持って戻ってくる。

「これ、見て!」
「ん?」
「行きたいとこ、たくさんあるの!」
「うん、全部行こうね!」
「フフ…うん!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日永久が駅で一人、咲愛が来るのを待っていた。
咲愛が“待ち合わせがしたい”と言った為だ。

煙草を咥えふかしながら、壁にもたれている永久。
片手はポケットに入れている。
この何とも言えないカッコいい姿が、街の人達の目を惹く。
駅に向かう人達が、二度見する程だ。

「カッコいい~!」
「声、かけちゃう?」
駅に行こうとしていた女性達が、口々に話している。

「はぁー、うぜーな…」
「━━━━!!!」
「え……怖っ…」
永久は女性達をキッと睨んだ。
永久は耳がいい。
なので周りの声が、ある程度聞こえるのだ。
「威圧感出さねぇと…すぐ、つけあがる」

「お兄様~!」
「━━━━━!!
咲…愛…?」
「お待たせ!どう?可愛い?綺麗?
フフ…お兄様、カッコいい~!それに待ち合わせっていいね!どんな風にお兄様が待ってるか想像しながら、行くからそれだけでも幸せ!
………って、お兄様?」
「咲愛」
「ん?
━━━━━え?」
永久は力強く咲愛を抱き締めた。

「凄く…もう…このまま拐いたい位に、可愛いくて…綺麗だよ………
誰にも見せたくない」
「良かった!
あ、お兄様」
「ん?」
「今日だけ…このデートの間だけ“永久”って呼んでいい?」
< 22 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop