永遠に咲け
永久の威圧
「大きな、事務所ね…」
「えぇ…大きな組織の傘下でしかも永久様は若頭ですし。
でも、よろしいのですか?
永久様に内緒で、こんなとこ……」
咲愛は今、中森に連れられて永久の組事務所に来ていた。

「お兄様と一緒に生きていくなら、ちゃんと知っておかないとね。
でも……」
中森の服を小さく握る。
「怖いですか?」
「うん…中森さんは?
怖くないの?
あ、でも…お兄様のこともあまり怖がらないもんね。
黒谷さんならわかるけど、みんなお兄様に見られるだけで怯えるのに……」
「そうですね…
旦那様と永久様、二人と関わっていればこんなとこ位、全然怖くありません。
僕が怖いのは、咲愛様が傷つくことです」
「え……?」
「あなた様が傷つくことが、僕にとっての地獄です」

中森がまっすぐ咲愛を見下ろした。
「咲愛様が幸せで、笑ってくれることが一番の幸せですので」
そして、フワッと微笑んだ。

事務所内に入ると、永久の部下に呼び止められた。
「おい!
………って、咲愛様?
なんで……!?」
「えーと、あなたは……」
「あ、春見って言いますっ!」
「春見さん、お兄様はいますか?」
「いえ、今仕事に出てます」
「そうですか…じゃあ、待たせていただけますか?」
「はい!」
中に入り、ソファに促された。
中森は咲愛の後ろにひかえている。

「何か飲みますか?買ってきますよ」
「あ、大丈夫です。お気遣いなく…!」
微笑む、咲愛。
他の組員達も、咲愛に見とれていた。

「やっぱ、あの大河 咲愛っすね!
スッゲー美人……」
「え━━━?」
春見がグッと、咲愛に顔を近づけ覗き込んだ。

「━━━━っつ、いててて……!!」
その瞬間、中森が春見の腕を持ち捻りあげた。
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