永遠に咲け
「咲愛…一度出た方がいいんじゃない?」
「でも…声聞くと、会いたくなるから。
今…会っても、お兄様や中森さん達を傷つけると思う。
今日のことが甦って、身体震えちゃうし」
「いいじゃん!」
「え?」
「身体が震えても、傷つけることになっても……それでも、好きな事には変わりないんでしょ?
永久さんも、中森さんも黒谷さんだって、咲愛を傷つけることは絶対しないんだから!
咲愛の幸せの為に、傍にいてくれてるんだから!
咲愛も、ちゃんと向き合わなきゃ!
永久さんと一緒に生きていく為に……」
里花が優しくまるで、あやすように語りかけた。

「そう…だよね。
中森さんが怒ったのも、私を守ろうとしてくれたわけだし」
「それに!咲愛が家に泊まること全然構わないけど、ちゃんと永久さんが納得してからだよ!」
「うん、わかった!」

咲愛はスマホを取り、電話をかけた。
『あ、咲愛!?』
コール音が鳴ることなく、永久が出た。
「お兄様、ごめんなさい…電話、出なくて……」
『ううん、咲愛が謝ることないよ!
それよりも会いたい!
里花さんのとこに泊まるのは、また今度にして?
今日は咲愛の傍にいたい。
俺のこと、怖いなら…触らないから!
ただ傍にいるだけでいいから、お願い!』
「………っつ…」
『咲愛?』

咲愛は泣いていた。
声を聞くだけで、涙が溢れて止まらない。
あんなに怖くて一緒にいたくないとさえ思っていたのに、今はこんなにも会いたくてしかたがない。

「好き……」
『咲愛……?』
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