永遠に咲け
咲愛の葛藤
咲愛は、他の使用人に迎えに来てもらい今、里花の家に来ていた。

「里花、今日泊めてくれない?邪魔かな…?」
「ううん。大丈夫だよ!
旦那には話しておく。
でも、ちゃんと永久さんや中森さんには連絡しなよ!
心配するから……」
「うん、今…メールしたよ」
咲愛は出されたコーヒーを一口飲んだ。

「私……覚悟が足りないのかな?」
「咲愛…?」
「怖かった……中森さん。
お兄様も……」
「だったら、離れる?
諦められるの?永久さんのこと。
そんな簡単じゃないでしょ?」
「うん…そんなのもっと苦しい……」
苦しそうに顔を歪ませる、咲愛。

「でも二人で生きていくって、そうゆうことも受け入れなきゃだもんね……
でも、咲愛のお父様に内緒で生きていくって可能なの?いつかは咲愛だって、お見合いとかさせられるんじゃないの?」
「お父様には、一生結婚しないって伝えてる」
「それで、納得してるの?お父様」
「今のところは……
その代わり、会社を支えるって約束してるの」
「あーだから今、必死に仕事覚えてるのね!」
「うん、長田さんや中森さんに助けてもらいながらやっていくつもり」
「そう……」

~~~~~~~!
その時、咲愛のスマホの着信音が響いた。
画面には“お兄様”の文字。
「あ…」
「出ないの?」
「声…聞いたら、会いたくなる」
咲愛は耳を塞ぎ、着信音が鳴り止むのを待つ。

一度切れて電源を切ろうとスマホを取ると、また着信音が鳴る。
「え……?」
今度は“中森さん”の文字。

それから一度切れるとすぐまた鳴り、止んでは鳴りを繰り返していた。

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