傲慢?ワガママ?悪役令嬢?それでかまわなくってよ!~聖女の力なんて使ってやるもんですか!!

「それで、リレイニア様は俺たちをどうしてここへ呼んだんですか?」

 オウガの質問にリレイニアは微笑んでいた顔を、少しだけ歪めた。

『そうでしたね。セリカ、私が授けた癒やしの力のせいで、辛い思いをさせてしまいました。どうか許して下さい』


 頭を下げるリレイニアにセリカは慌てて手を振った。

「いえ、そんな……リレイニア様、頭を上げて下さい」

 セリカの言葉を聞き、リレイニアは頭を上げた。

『セリカ、オウガよく聞いて下さい。貴方達の心臓は現実世界では止まった状態です』







「「えっ……」」


 心臓が止まっている……。

 やはり現実世界の自分達は死んでしまったということか……。

 心配そうにセリカがオウガの手を強く握りしめてきた。その手をオウガも強く握り返すとセリカがオウガを見上げて微笑んだ。

 大丈夫だと何も言わなくても伝わってくる。

オウガはその顔を見つめ、二人は自然と微笑みあう。それを見ていたリレイニアも微笑む。

『大丈夫ですよ。心臓が止まる少し前に、二人の時間のみ戻します』

「そんな事が出来るのですか?」

『ええ、その前に二人に聞きたいことがあります。これからも二人には沢山の辛い試練が待っています。それでも元の世界に戻りたいですか?』

 これから待ち受ける試練……。

 リレイニアの言葉を聞き、オウガが「フッ」と笑った。

「リレイニア様、俺はセリカと二人なら、どんなに辛い試練も乗り越えることが出来ると信じている」

 俺の言葉を聞き隣でセリカが息を飲む音が聞こえる。そして、慌てたように声を発してきた。

「わっ……私もオウガと二人ならどんなに辛い試練も乗り越えられます」

『そうですか』

 リレイニア様と交わした会話はこれが最後だった。

 リレイニアが優しく微笑むと視界に光が溢れ、目を開いていることが出来ず二人は目を瞑った。




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