強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
それがまた素直に即答してくれるもんだから、可愛くて愛おしくて、目の前の部長にぎゅっと抱きつく。


「…っていうか一華、いつまで部長って呼ぶつもり?俺の名前、知ってる?」

これまた拗ねた口調で言う部長に、

「…知ってます…けど、名前呼びが定着しちゃったら、私絶対会社でボロが出る予感しかしないので、当分は部長でいいんです!」

今まで部長と呼んでいたから、いきなり名前で呼ぶのは…恥ずかしい。

だからそれらしい理由をつけて、誤魔化した。

「…ふーん?別に社内恋愛禁止な訳じゃねーんだから、問題ないと思うけど。…まぁ、でも最中にあの顔で部長って呼ばれんの、それはそれでいけねーことしてるみたいでゾクゾクするからいーけど」

そう悪戯っぽく微笑みながら、抱きついていた私の顔を覗き込む。

「…もう!どうしてそういうこと言うんですかー!」

私の真っ赤になった顔を見て声を上げて笑う部長。

まぁ気が向いたら呼んでよ、そう言ってチュっ、とリップ音をさせて部長は私の唇を攫っていった。




ーーこの時、恥ずかしがってないで素直に名前を呼んでいれば良かったと、私が後悔することになるのはまだもう少し先の話ーー
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