強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
2次会会場を出て、エレベーターホールの出窓前に置かれた2人掛けのソファーに座るよう促される。

会場を出てしまえば中の音はほとんどシャットアウトされ、時々おぉー!とどよめく歓声が漏れ聞こえてくるだけだった。

ビンゴ大会の景品の紹介でも始まったのだろうか。

座った黒い皮張りのソファーが思いの外柔らかく、身体が深く沈み込む。

部長と向井は立ったまま向き合っていた。  

一体今、どうしてこんな状況になっているんだろう……?

緊張感の漂う2人を前に、これから何が起こるのか不安を隠せない。

「…付き合ってないって、本当ですか?」

ぴりぴりした沈黙を切り裂くようにそう切り出したのは向井だった。

「…あぁ、俺と三好は付き合ってはいない」

「…じゃあ、なんで三好にキスしたんですか」

……え……?

「…俺、見たんです、この前非常階段で。2人のいる上の階でたまたま休憩してて…」

あぁ、あれを見られていたんだ……

< 96 / 158 >

この作品をシェア

pagetop