Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―

「いや。俺の方も憶測だけで盛り上がっちゃったから……そうなると、別の意味で厄介な問題が起きそうだから」
「?」
「よし、やっぱりネメちゃん、結婚しよう」

 紡の声で、ネメが救いを求めるように扉へ視線を泳がせる。
 もう我慢できないと俺は彼の前へ詰め寄った。


「――どうして俺が留守のときにお前が屋敷のなかにいるんだ? 紡」
< 166 / 259 >

この作品をシェア

pagetop