私の知らない恋の話。
「今日のなぎの服、落ち着いてる」
「え、うん。別に攻める必要もないでしょ」


白いトップスに花柄のロングスカート。
肩が出てることもなければ、足も同じく。
前の合コンの時とは違ってちゃっかり清楚系。


「……そっちのが好き。なんか、前のは……狙ってる感じがやだ」
「あぁ、あれ狙ってるように見える?割とイタい女だと思ったんだけど」
「俺は好きだけど」
「……どっちなの?」
「俺のためなら可愛い……そうじゃないならやだ」


……わかりやすすぎでしょ。なんだそれ。


「ふぅん」


かく言うもえは、淡い青色のニットに黒デニム。
大学生みたいな量産な格好で、髪が茶色なのも相まって本当に大人っぽい。


「眠い……」
「着いたら起こすけど。寝てなよ」
「……やだ、なぎと喋りたい」


さっきまで無言だったのは誰だ。


「……前川みたいなの、好きなの?」
「いや?別に。普通。好みとかないから」
「ふぅん」
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