秘する君は、まことしやかに見紛いの恋を拒む。


──少しの間待っていてくれ。そして結婚しよう。


「高人さん、私にプロポーズしてくれたんです。高人さんと結婚して、ずっと一緒にいられる未来があると思ったら・・・寂しかったですけど、1年間の会えない期間も耐える事が出来ました。

だから、すごく楽しみなんです。やっと高人さんに会えて、結婚出来る事。・・・ずっとずっと会いたかったので」

ふとした時の言葉の選び方、優しい声、考え事をする時に耳び触れる癖、時々きちんと叱ってくれる所も。本当に、数えだしたらキリがない程に高人さんの全部が大好きだ。

高人さんを想って思わず頬をほころばせていると、前を歩いていた秋世さんが急に立ち止まり振り返った。

「四宮さん。兄について俺が言った事、覚えてますか?」

感情の読めないような深い目をしてそう尋ねられ、威圧されながらもコクンと頷く。

「高人さんに会いに、一緒に東京へ来てくれって・・・」

そう答えると、秋世さんは首をすくめながら深いため息をついた。
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