お願い、私を見つけないで 〜誰がお前を孕ませた?/何故君は僕から逃げた?〜
memo凪波

高校卒業後の18歳と、そうでない18歳はこんなに違うのかと感動した。
もう、家に帰りたくないからと駅前の漫画喫茶に寄っても、夜中に追い出されることはないし、警官に早く家に帰れと急かされることもない。
牢獄だった家に帰らなくていい。
そう考えるだけで、私は涙が出るほど嬉しい。

東京に来てすぐは、漫画喫茶を宿にした。
そういう人が多いと、ネットで見たことがあったから、最初から決めていた。

この文章は、そこで書いている。
記念すべき東京での最初の夜。
足を少し曲げさえすれば、横にもなれる。
少し寒いかもしれないけど、それもどうにかできるだろう。

お金さえ払えば漫画や雑誌が読み放題、飲み物も飲み放題なのはありがたい。
声優として演技をするには、色々な作品を知っておく必要がある。
ここなら、誰の目も気にせず、読まなくてはいけない漫画を夜通し読むことができる。
それに食べ物だって、カロリーがある飲み物で栄養を摂取すれば問題ない。
コーンスープがあって本当によかった。
食べたくない時に、食べたくないものを無理やり食べなくていい。
声優を目指すなら、今は見た目も大事。だからダイエットにもなれば一石二鳥だ。

読み返してみると文章がよくわからない。
少し疲れてしまったのかな。
書きたいことがいっぱいあるのに、書ききれない。
国語の勉強をちゃんとやっておけばよかった。
今からでも間に合うかな。

東京は、右を見ても左を見ても人と建物しかない。
山も畑も獣もいない。
その分ずっと明るい。
いつ出歩いても、道が見える。
すごく安全な場所なんだ、と思った。
みんなが東京に来たがる理由が、分かった。

仕事や家は、明日から探そう。
今日はもう疲れてしまった。
実鳥に勧められたけど読むことができてなかった漫画でも読もうかとも思ったけど、そんなものより今は寝てしまいたい。

そういえば、ちゃんと眠れたのはいつだったっけ。
しばらくは、東京に来るための準備に追われていたから、ずっと徹夜していた気がする。
明日から頑張ろう。
明日、いいことがありますように。
おやすみなさい。
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