お願い、私を見つけないで 〜誰がお前を孕ませた?/何故君は僕から逃げた?〜
memo凪波

神様は、こんな私に手を差し伸べてくれた。
私を救えるのは、私が消えることだと教えてくれた。
私もそれしかないと思った。
どんなに汚いと蔑まされても、愚かだと笑われても、そう生きていくのが正しいと思っていた。
必死だったから。
自分の夢のために。

でも、もう何が自分のためになるのか、考えるのも疲れてしまった。
誰のためにも、生きていきたくない。
いっそ、神様の導くまま、流されたくなった。

覚悟が決まると、心が穏やかになった。
それが正解なんだと、安心できた。
だから……最後の日を決めた。
あの人との思い出を私の中にぎりぎりまで残すために。
あの人に、私のことを忘れてもらうために。
憎んでもらうために。

最後の日だけは、いっぱい喜んでもらおうと思った。
それは自分のエゴかもしれないけれど、そうしたかった。
許されたかったのか、一生許されたくなかったのか。
どちらの気持ちもあった。

願うのはたった1つだけ。
どうか、私以外の人と幸せに。

あなたを愛している。
だから、あなたから逃げたかった。
逃げなくてはいけなかった。
あなたのために。
そして、私のために。
だからごめんなさい。
今日私は、私であることを捨てます。


お願い、私を見つけないで。
誰も。
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