スノーホワイトは年下御曹司と恋に落ちない
啓五への文句を諦めたのか『今夜食べたいもの』を真剣に悩んでいる陽芽子の横顔を見ると、彼女に興味を持たない男なんているのだろうか、と本気で考えてしまう。
いつも一生懸命な陽芽子の姿に惹かれて、陽芽子と接触したがる男が出てきてもおかしくはない。
という一方的な嫉妬は、環や怜四に知られたら爆笑されそうだけれど。
啓五は、女性の世界には口を挟まない。けれど断ち切るところは断ち切って、利用できるところは外から利用させてもらう。
そんなことを考えているとは露ほども知らない陽芽子は、段ボールの中の商品を眺めては無邪気に喜んでいる。
「ねえねえ、チーズもあるよ!」
「ん? ……ああ、それ今は常温だから、帰ったら冷蔵庫に入れないと」
「すぐ食べれる? 見て見て、マカロニもあるの! だからグラタンにするのはどう?」
啓五は最近誕生日を迎えたが、陽芽子の誕生日はもう少しだけ先なので、現在一時的に歳の差は縮まっている。
けれど本当は年齢なんて関係ない。陽芽子の姿を観察しているといつも『可愛い』と思ってしまう。
「陽芽子が作ってくれんの?」
「うん! グラタンなら作れるから!」
「…………」
「……え、なに? どうしたの?」
「なんか、幸せだなと思って……」
張り切っている姿が微笑ましくて一人で悶絶していると、不思議そうに顔を覗き込まれた。何をしても可愛いなんて、陽芽子がずるいのか、自分の考え方がおかしいのか。
いや、どちらでも構わない。
もういっそ鳴海を含む周囲のことなんて一切気にせず、陽芽子をずっと傍に置いて、この世の全ての人間に見せつけてやりたい。
――なんて本人に知られたら怒られそうなことばかり考えてしまうのは、啓五しか知らない秘密の話だ。
Story2:END*


