スノーホワイトは年下御曹司と恋に落ちない

 啓五への文句を諦めたのか『今夜食べたいもの』を真剣に悩んでいる陽芽子の横顔を見ると、彼女に興味を持たない男なんているのだろうか、と本気で考えてしまう。

 いつも一生懸命な陽芽子の姿に惹かれて、陽芽子と接触したがる男が出てきてもおかしくはない。

 という一方的な嫉妬は、環や怜四に知られたら爆笑されそうだけれど。


 啓五は、女性の世界には口を挟まない。けれど断ち切るところは断ち切って、利用できるところは外から利用させてもらう。

 そんなことを考えているとは露ほども知らない陽芽子は、段ボールの中の商品を眺めては無邪気に喜んでいる。

「ねえねえ、チーズもあるよ!」
「ん? ……ああ、それ今は常温だから、帰ったら冷蔵庫に入れないと」
「すぐ食べれる? 見て見て、マカロニもあるの! だからグラタンにするのはどう?」

 啓五は最近誕生日を迎えたが、陽芽子の誕生日はもう少しだけ先なので、現在一時的に歳の差は縮まっている。

 けれど本当は年齢なんて関係ない。陽芽子の姿を観察しているといつも『可愛い』と思ってしまう。

「陽芽子が作ってくれんの?」
「うん! グラタンなら作れるから!」
「…………」
「……え、なに? どうしたの?」
「なんか、幸せだなと思って……」

 張り切っている姿が微笑ましくて一人で悶絶していると、不思議そうに顔を覗き込まれた。何をしても可愛いなんて、陽芽子がずるいのか、自分の考え方がおかしいのか。

 いや、どちらでも構わない。

 もういっそ鳴海を含む周囲のことなんて一切気にせず、陽芽子をずっと傍に置いて、この世の全ての人間に見せつけてやりたい。

 ――なんて本人に知られたら怒られそうなことばかり考えてしまうのは、啓五しか知らない秘密の話だ。


 Story2:END*

< 185 / 185 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:136

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

総文字数/180,540

恋愛(オフィスラブ)304ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
*Story* 深田 紗夜が勤める会社では 長年社内恋愛が禁止されていた。 しかし新しく取締役に就任した かつての指導係である明里 和季が 社則を変えたことで、 社員同士の自由な恋愛や結婚が 認められることとなった。 実は社内恋愛が禁止されていた頃、 密かに和季と交際していた紗夜。 しかし彼には結婚を考えている相手がいると知り、 深入りする前に…と身を引いていたのだ。 別れてから2年が経過している。 今さらよりを戻すことはない。 ――そう思っていたのに。 「もう社内恋愛は禁止じゃない。  これで俺たちは、堂々と付き合えるだろ?」 優しかったはずの和季が甘くみだらに、 そしてなぜか意地悪に紗夜に迫ってきて……!? ―――――*――――― 株式会社ルミリュクス 常務取締役 御曹司 明里 和季 29歳 Akari Kazuki × 経理部経理課 社員 深田 紗夜 25歳 Fukada Saya ―――――*――――― *投稿&完結 : 2026.8.29.* ◇ 設定はすべてフィクションです。実際の人物・企業・団体には一切関係ございません ◇ アルファポリス・エブリスタにも掲載しています
パーフェクト・ネイル ~憧れの上司に狙われている、かもしれません~

総文字数/9,999

恋愛(オフィスラブ)20ページ

超短編!フェチから始まる溺愛コンテストエントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
*Story* ふとしたきっかけで 密かに憧れている上司・遠坂 琉生に 特殊な性癖(?)があることを 知ってしまう初野 椛。 興味本位で掘り下げたてみたら、 実は遠坂の好みに 自分も当てはまっていたことがわかり…!? どうやら私、 憧れの上司に狙わている―― …かもしれません。 ―――――*――――― *開始 : 2026.5.18.* *完結 : 2026.5.19.* ◇ 設定はすべてフィクションです。実際の人物・企業・団体には一切関係ございません ◇ 表紙はCanvaさんで作成いたしました ꒰ঌ.*・ みかよ さま・*.໒꒱ 素敵なレビューを ありがとうございました…♡ いつか続き書きたいです…°˖✧
幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-

総文字数/31,994

恋愛(純愛)47ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
会社勤めの池田咲は、高校時代、部活中に幼なじみの本庄光希が蹴ったボールが当たって目に怪我を負った。以来、責任を感じた光希から過保護に守られる日々を送っている。 傍にいてくれることが嬉しい。 ただの『幼なじみ』以上の関係になりたい。 ――でも自己犠牲はしてほしくない。 秘めた気持ちを伝えられず『幼なじみ』という微妙な距離感を保っていた二人だが、ある日同僚から『本庄くんに連絡先を渡してほしい』と頼まれ、さらに同期の男性社員から『池田と二人きりで過ごしたい』と誘われる。 恋心に揺れ動く咲の感情に気づいたとき、光希がとった行動は―― ◆ 設定はすべてフィクションです。実際の人物・企業・団体には一切関係ございません ◆ 表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しています ◆ エブリスタにも投稿しています

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop