となりの紀田くん



「紀田!」





HRが終わるなり
隣の紀田に話しかける





「うっせえな。いちいち声がでけえんだよ」






「何で自らあんなことを?また何か企んでるでしょ!?」






「アホのわりには勘がいいのな」






「は!?」





「榎本に勉強教えるかわりに、お前クリスマス俺とデートしろ」






「はぁ…………ってえええええ!?」






何言っちゃってんの!?
バカなの死ぬの?←古。






「無理に決まってんじゃん!!」






「残念だな内倉。お前に拒否権は与えられない」





鼻で笑いながら
私を見下すコイツが
どうしようもなく憎い……






「残念だな、紀田。内倉には俺という先約がいる!!」






羽麻くんが私の肩を
自分の方へと
引き寄せながら
紀田を睨み付ける






「………その先約とやら………たった今、破棄されたから」






いつの間にか私を
見下すのを止め
無表情に戻った紀田






お前、発言自由すぎだろ!!






「勝手に破棄するな!!」






そして………
羽麻くんは一体
何の話をしてるんだ?






「羽麻くん………私まだ羽麻くんと何にも約束してないよね?」







「じゃあ…今、約束したって事で!」






「は?先約とか嘘ついてんじゃねーよ。つまり俺が先約だから、羽麻は引っ込んでろ」






「うるせー、今さらしゃしゃり出てくんな!」






バチバチと火花を
飛び交わせる二人






「そんなの俺の勝手だろうが」






左側から紀田
右側から羽麻くん………





微かに響くリップ音





間には私の顔





私達以外
誰もいない教室で
私の両頬が
彼らの唇に奪われる………






ブチィ





「いい加減に…………」






「「あ?」」







「いい加減にしろぉおおおおおおーーーーーーーーっ!!!」







私は喉が張り裂けそうに
なるくらい最大限まで
声を張り上げ叫んだーーーーー






ーーーーーーーーー





放課後
紀田家にて………。





あのあと、紀田と
羽麻くんを強制的に
黙らせた私は






悠斗と平山さんも
呼び出した。





「羽麻くんと紀田くん何かあったの?」





平山さんが気まずそうに
私に尋ねてくる……





お互いそっぽ向いたまま
しかめっ面の二人





「ほっときな……バカだから。」





それにしても相変わらず
ひっろい部屋だなぁ。





両親はアメリカから
帰って来ないのかな………






って、いけないいけない。
私は紀田の過去には
触れないって決めたし





何よりもう彼を
恋愛対象として
見ちゃいけないんだ。
< 196 / 370 >

この作品をシェア

pagetop