甘々顔KING総長様と地味顔女子

目を開けると、既にバイクは停まっていて、見ると、そこは暗い駐車場だった。
天井が低い。
地下なのかな?
総長様のお仲間さん達もバイクも、勢揃いしてる。
みんなエンジンを切ってるせいか、人数に反比例して静寂さがその場の空気を覆っていた。
その空気を一変したのは、総長様で。

「ここからは俺一人で行く、」

え?

あ、ああ、まぁ、家庭の問題だもんね。とりあえず、さくらちゃんの居場所さえ分かれば
良かったんだし。
でも、私は一緒させてくれないかな?さくらちゃんにも会いたいし。
そんな思いは私だけでななく、
「俺も行きます。」
慧って子も同じだったらしい。
「俺らも連れていけよ」
他の人達と黒い服は同じでも赤い刺繍の文字が多い人達もそう言ってバイクから降りてきた。

「いや、ここには俺しか入れねぇ、それより、こいつ頼まれてくんねぇか?」
「ん?」
なにやら総長様は私の方に指を向けている。
そう言うと、さっさと自分だけバイクから降りて、その刺繍の文字の多い人に乗っている私ごとバイクを引き渡した。
え?ちょ、
「いくら亜弥さんでも危ねぇすよ!」
私よりも慧って子の方が先に声を上げていた

「ああ、慧と、哲也はここで待機してくれるか?、さくらが出てきたら頼む。」
総長様の言葉に、体格の大きい男の人が前に出て来て「わかった。」と言い、慧って子の肩を掴んだ。
「―っ、」慧って子の顔は歪んだままだ。
自分の意とする命令では無いからだろう
でも、体格の大きい哲也と呼ばれた男の人は総長様の意の方を優先したんだろう、
今にも動き出そうとしている慧って子の動作を止めてる。

そして、総長様が背を向けた瞬間、
全てのバイクのエンジン音が鳴り響き、一斉に総長様の間をすり抜けて出口方向へと走り去って行く。私を乗せたバイクもそこに漏れず走り、みるみる内に外の明るい場所へと出た、
でも、そこで、私は、運転している刺繍の文字の多い人の背中をギュっと掴んだ
それに気づいてくれ、地下から出てすぐにその人はバイクを停めてくれた。

「どうかしたか?」
暴走族の人とは思えない程、優しい声色。
私は
「ここで降ろしてください、家、近くなので大丈夫です。」
そんな優しい気遣いをしてくれる人に

嘘をついた。
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