JOKER -東京の片隅で愛を探して-


両親には感謝していること、昔本当はこうしたかったけれどできなかったこと、一人になって気付いたことや、今後について考えていることについても改めて伝えた。


数年前までは逃げだったものが、今では上京するという目的は前向きなものだった。


その思いを伝えると、両親は心配をしながらも私の後押しをしてくれた。




━━━━━‥‥‥


私は、再び東京の街にいた。


久しぶりにJOKERへと足を運んだ。



「あの……」



近くにいたスタッフに声を掛けると、通りすがりの雄輝の姿があった。



「未来ちゃん!?」



驚いた様子で気付いた彼は、私に声を掛けてくれた。


「どうしたの、久しぶりじゃん。元気してた?」


「久しぶり。元気だよ。雄ちゃんは?」


「相変わらず元気に頑張ってますよ」


「ねぇ、ちょっと聞きたいことがあって」


「どうした?」


「JIN、いる?」


「……あぁ、アイツなら辞めたよ」


「辞めた……!?」



そんなにアッサリ言われても、なんだかピンと来なかった。



「なんでも他にやりたいことがあるからって」


「やりたいことって?」


「さあ。そこまでは知らないけど……」



せっかく東京に戻ってきたのに、迅に会えなきゃ意味ないじゃない。




「今どこに居るか知ってる?」


「それは、誰も知らないんじゃない?」




これ以上、彼に関する情報は聞き出せなかった。






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