√セッテン
寝ぼけていた頭が一気に覚醒する。

恐怖からくる自己防衛機能だろうか。

音は頭上からした。

そして、床に置いた俺の手に落ちてきた赤いもの。


視線を上げられない。

上げたくない。


また、床に液体が落ちる。


俺は手が震えていることに気が付いた。



ヤバイ


『ねぇ……』





昨日の昼に山岡と聞いた声と同じ。


頭上から、聞こえる。

『ねぇ……ここから、出して』

「……出して?」

『ねぇ……出して』



パタパタ



蝶でも耳元ではためくような音がして

床にまた赤い液体が落ちる。



反射的に頭上を仰いだ。
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