√セッテン
「そういえば、この死の待ち受け避けのサイト、だれが作ったんだろうね」

堀口俊彦が一方的に通話を終了させ

ぼんやりと自分のケータイを見つめていた俺に、山岡が声をかけてきた。

「待ち受け避けのサイト……」

俺も敦子からもらったURLを開いて、死の待ち受け避けのサイトを開いた。

黒背景に赤字のフォント

一番上には「タナトスの館」という怪しげなロゴが表示されていた。

タナトス、ギリシア神話で有名な、死そのものを神格化した神の名前か。

下へ下へとスクロールすると、そこに

「死の待ち受け防止の待ち受け」

と書かれたリンクが貼ってある。

ミステリー&ホラーBBS、と名付けられた掲示板の中は、業者書き込みの間に、熱心なオカルト好きたちの書き込みが溢れていた。

【呪符さっそくDLして待ち受けしちゃった★】

【つーかほんとに死んだらしいね!怖いし!】

【この前の自縛霊の話続き聞いた人貼って!!】

スクロールするたび、ふざけた書き込みばかりだと眉をひそめた。

「管理人は1ヶ月くらい前から、掲示板に出てこなくなったみたいだな」

俺はこんなサイト、用事なきゃ来たくもないけど

「結構訪問者も多いみたい…」

20分遅れでホームへやってきた電車に、わっと人が群がる。

俺と山岡は混雑の様子を見て、電車を見送った。

「これが防止の待ち受けか」

画像を開く。

敦子がしつこく落としておけ、と言っていたやつだ。

まるでキョンシーの額に貼るやつみたいな、漢字だか何だか分らない文様が描かれた待ち受けだった。

「私、一応ここの管理人さんにメールしてみるね」

「頼んだ」

次の電車はすぐ来たが、案の定混みまくりだった。

寝不足で朝から混んだ電車ほど嫌なモノはないっていうのに。

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