助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
Fight3:思い出さなくてもいい。でも、もう忘れさせない
思えば、彼女との繋がりは長かった。
ただ、彼女は、その事を知らない。
それがより一層、僕をイラつかせる。


高井綾香。
彼女の履歴書を人事部から送られてきた時に、本名は知ったが、彼女の顔と仕事は、よく知っていた。

彼女が以前いた自動車メーカーYAIDAは、僕がマネージャーポジションに着く前、営業として最後に受け持った企業。
そこは日本有数の大企業で、世界中でも名が知られている。

そのような会社を担当するということは、エリートコースに王手をかけたも同然。
逆に言えば、ミスが一切許されないということでもある。

仕事の難易度はとても高かった。
これまで担当してきた仕事とは、雲泥の差で、ただ闇雲に働くだけでは決して成功しないミッションばかりが与えられた。

やりがいは、感じられた。
1つ1つ企業からの無理難題を解決していくごとに、周囲の僕を見る目がどんどん変わっていく。
賞賛が沸き起こる。
それがとても心地よかった。

他の人間にはできないだろう。
僕だからできたんだ。
そんな麻薬のような優越感が、次第に体を麻痺させていき、ある日僕は危うく取り返しがつかなくなる事件を起こすことになった。

今思えば、あれは、僕の慢心が引き起こした必然的な事件。
僕が責任を取るべきだった事件。

でも、そんな僕をあの日救ってくれたのが、当時その会社に所属していた……後に僕の部下となる高井綾香だった。
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