助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
何、いきなり……。
傲慢な態度で、それも初対面の人間に向かって……こんなこという人本当にいるのか……と私は感心すらした。
が、言われっぱなしは、私の性に合わない!

「おとぎ話ってなんですか!」
「あんたの志望理由」
「私は真剣にそう思って」

います、という言葉をいう前に

「あんた、裏切られても平気?」

と遮られてしまった。

裏切る……?
なんで急にそんな言葉が出てくる……?

「……どういうことですか」

私がそういうと、大きなため息を疲れた。

「困るんだよね。夢を持って入ったはいいけど、現実知った途端にすぐに辞められると」

そういうと、その人は私に近づいてくる。

「教える方もタダで教えてる訳じゃないの。わかる?」
「そ、そんなこと言われても」

……これ就職面接だよね。
そもそも、なんで私、怒られてるの?
その人は、私の回答を待たずに続けてこう言った。

「半端な覚悟ならこないで。迷惑だから」
「半端な覚悟!?」

その言葉は、私の怒りのボルテージをどんどん高めていった。
人が面接を受けようと決めた気持ちを、半端と言われて気持ちのいい人間なんているのか?
いや、いるはずない!

「なんでそんなこと言われないといけ」
「おっと、次のアポの時間だ。それじゃ、2度と来ないでね、お・じょ・う・ちゃ・ん」

言いたい事は言い終えた……そんな表情で、初対面でいきなり無礼な言葉を投げつけたその人は、さっさと立ち去っていた。
……何あれ。
ねえ、何あれ!?
私の怒りを察したのか

「も、申し訳ございません」

先ほどは、冷静に人の話を聞いていた面接官でさえ狼狽えている。

「何なんですか、あの人」

面接官は、ハンカチで汗を拭いながら

「……もし高井さんにご入社いただけましたら……その……上長となる方です」

と説明をしてくれた。

「へえ……」

あれが、上長ねえ……。
ふーん。

「あの……」

私の声が低すぎたのか、面接官が怯えた様子で

「はい」

と答える。

「……どんな仕事でもしてみせますから、この会社にどうにか私をねじ込んでいただけませんか?」
「それは……まだ決めかねてますが検討はさせていただきま」

私は、おどおどしている面接官の両手をぎゅっと握りしめた。
あいつを絶対にギャフンと言わせないと、気が済まない!

「絶対にいい成績取ります」
「絶対に言うこと聞きます!」
「私いい子なので、絶対に噛みつきません!」

だから……

「絶対、絶対ゼーったい、あの人と同じ部署にしてください!!!!!」
< 2 / 88 >

この作品をシェア

pagetop