ＬＯＶＥＤＡＮＧＥＲ～元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚～

パリンッ、と大きな音と共に、後部座席の窓ガラスが割られて。

キャーと、その音に驚いて悲鳴をあげてしまう。

篤さんの腕が、窓ガラスの割れた穴から入り込み、鍵を開けられた。


そして、後部座席のドアが篤さんに開かれる。


「梢、大丈夫か？」


「う、うん…。
怖かった…」


篤さんが。


「つーか、こいつら人拐いか何かか？」


篤さんは、順に車内の男達を睨み付けていて、みんなそれに怯えている。


あれほど悪ぶって私に凄んで来た、酒井さえも。


「…この人達、私の元彼みたいで」


「は？」


私の言葉に、篤さんはかなり眉間を寄せている。



「篤さん、血が出てる」


篤さんの右の手の平からは、窓ガラスを割った時に切れたのか、血が出ている。


「別に血ぐらい。
折れてねぇから大丈夫だ」


そう言って、その手を握ったり開いたりしている。



「とりあえず、この人達にも車から降りて来て貰って話したら？
にしても篤、さっきの衝撃で、むち打ち症になったらどうしてくれんの？」


そう言ったのは斗希さんで。

斗希さんも、あのボルボに乗っていたのか、こちらへと歩いて来る。



「仕方ねぇだろ？
こうでもしなきゃあ、こいつら車発進させて逃げるかもしんねぇだろ？」


篤さんはそう言うけど。

それなら前に停めるだけで突っ込まなくてもよくない？



ボルボの方を見ると、後部座席のドアから、ケイさんと兄まで降りて来て。


「とりあえず、てめぇら全員降りろ」


篤さんは、私を含めた車内の人間全員にそう言った。