LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「けど、梢が幸せそうで良かった。
初恋って実るんだね」


「え、うん…」


「なに?その微妙な感じ」


ミヤコには、全てを話したから、
私の初恋が篤さんだった事も知っている。


ただ、その恋が実ったのか、と言われると、
結婚した今も、よく分からなくて。


「ミヤコには全部話したでしょ?
私と篤さん…」


周りに聞き耳を立てられているのを感じるから濁すけど。


私と篤さんは、元々は一夜限りの関係で。



全く私の事をなんとも思ってないわけではないみたいだけど、
篤さんは子供が出来たから私との結婚を決めて。


それに、私が妊娠しているからなのかもしれないけど、
篤さんに抱かれたのは、あの一度だけで。


キスすらもなくて。


おまけに。



「この部屋、お前の部屋だから。
好きに使え」


と、入籍した日の夜、そのまま篤さんのマンションに行くとそう言われた。


それは、元々篤さんが衣装部屋に使っていた部屋で。


篤さんは私の為にその部屋を空けてくれたのか、
その部屋は何も荷物が無くて。


「---ありがとう」


そう言ったけど。


同じ部屋じゃないんだな、って。


そりゃあ、4部屋もあるわけだし、
別々の部屋でもいいのかもしれないけど。



「お前の布団、土曜日迄に用意しとく。
ベッドどうする?」


そう言われ、寝るのも別々なんだな、って。



「いえ。
布団もベッドも持って来るから、いらない」


そうとしか、言えなくて。



その、入籍日で、私達の結婚した特別な夜である、初夜も。



「明日も仕事だし、そろそろ送って行くわ」


って、自宅に送られて。


鞄の中に、着替えや下着等のお泊まりセットを忍ばせていた事も、私は言い出せず。




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