君と旅の途中







「俺は反抗期じゃねえし。はいはい、おいしい、おいしい。料理上手のお母様」















「ちょっと、それ本気で言ってるの?」














「逆に本気だと思いました?」















そんなやり取りをして母親に小突つかれていると、穂香さんがふふっと楽しそうに笑った。















「よかったわね、穂香。燈子ちゃん、今日は本当にありがとう。流石お料理上手ね」















にこにこと穏やかな笑顔の穂香さんに、母さんは嬉しそうに頬を緩ませ、手を当てた。














「あらあらあら~。穂香ったらほめ上手ね~。そういうところが穂希ちゃんと似てるわね」















いやいやいや、お母様。どう考えてもお世辞でしょうよ。















出れっと目じりを下げた母親を無視、穂希の皿に大盛りの食べ物を盛る。



















「ほら、母さんの話は長いからな。先に食べてようぜ」















「あははっ。そうだね、料理が冷めちゃう」















穂希はお箸でハンバーグを大きめに切り分け、口に運ぶ。
















「ん~っ。美味しい~!」
















頬を食べ物で膨らませ幸せそうに破顔する穂希に、俺はほっと息をついて、続いて料理を口に運んだ。














楽しんでくれているみたいでよかった。















俺の家では何の心配も忘れて、気楽に過ごしてくれると嬉しいな。














< 44 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop