きらめく星と沈黙の月
『で、なんでこうなってんの?』


碧がジロリと教室を見回す。 


冷たい視線の数々が私に注がれた。


『…碧くん…。あたしね、桜とずっと親友だと思ってた…っ。だけど、そう思ってたのはあたしだけだったみたい…っ』


『え?どういうこと?』


碧の戸惑いの視線が私に向いた。


『ちが…全部その女の作り話で─』


『ほんっと、桜ちゃんって嘘つきなんだね』


『どこまで瑠璃を悪者にしたいの?』


違うのに。私が被害者なのに─っ。


弁明したいけど、何を言ってもムダなんだ。


私が裏切り者で、瑠璃が悲劇のヒロイン。


それがこのフィクションのシナリオなんだから。 


物語の証人はここに大勢いるクラスメイト。


たった一人の反乱分子の主張を聞き入れてくれるヒーローなんていやしない。


『あたし、桜をいじめてなんてない…っ。だけど、最近ずっと濡れ衣着せられてて…っ。きっと桜の自作自演なのに…っ。あたし、桜に何かした…?何もしてないよね…?』


体も声を震わし、上目遣いで碧を見上げる瑠璃。
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